当会について~十勝特別支援教育振興協議会の成り立ち~

(2007(平成19)年度総会にて、小西副会長(当時)より説明された「振興会30年のあゆみ」より)

○ 1950(昭和25)年、全道に先駆けて、新得小学校に特殊学級が設置された。やや前後して、紋別郡雄武小学校、札幌市立琴似小学校に設置された。これらが、北海道における特殊教育の草分けとされている。

○ その後、約10年ほど特殊学級の設置はなかったが、以後特殊教育の諸施策が進められてきた。(計画設置の時代)
中教審答申「特殊教育の充実・振興について」(1959(昭和34)年)をもとに、1961(昭和36)年には、特殊学級増設(第1次)5カ年計画に着手。1964(昭和39)年には、市町村に対し、人口規模に応じて特殊学級を設置するという計画設置を打ち出した。
十勝では、1959(昭和34)年に新得中、翌年には幕別小、大樹小、帯広小、以後、本別小、大樹中、本別中に設置。
1970(昭和45)年段階での特学設置校は、上記に加えて以下の通りであった。
士幌小、下音更小、音更小、上士幌小、広尾小、屈足南小、下音更中、幕別中、池田中、音更中、上士幌中、士幌中

○ 特殊教育の理解と啓蒙(教師、地教委)、特殊学級の設置促進(道教委、教育局)、普及度を高めるべく、それぞれの運動を組織的に進めようという声が高まり、1966(昭和41)年、池田茂一氏(上士幌小学校長)を会長とする十勝管内特殊教育振興協議会が結成された。
「研究協議会の開催」「判定委員会の創設」「特殊学級設置の運動」「全道特殊教育研究会への参加」「特殊学級教員養成の運動」などを主な活動とした。

○ 特殊学級の担任者は、全同規模の研究会に参加するたびに、十勝の立ち遅れを感じ、研修活動を深めてレベルを高めようとの声が高まった。1969(昭和44)年に、十勝管内特殊学級担任者連絡協議会(特担連)を発足。
特担連では、全道的な研究課題を組織的に取り組むために、「ア 教育課程に関する研究」「イ 学習指導に関する研究」「ウ 資料作成に関する研究」「エ 進路指導に関する研究」「オ 方面別の実践交流」 などの活動を行った。

○ 特殊教育サークル、特殊教育振興協議会、特殊学級担任者連絡協議会(特担連)という3つの組織が存在することとなった。それぞれの組織は、特殊教育を充実発展させることでは一致していたが、各々独自性があったり、三つの組織の役員を兼ねたりする事例もあるなど、すっきりしない面もあった。より研修しやすい体制となるよう組織機構を改革する必要があり、長年の論議を経て、1977(昭和52)年、特担連を発展的に組織解消した。

○ 1978(昭和53)年に、新たな十勝管内特殊教育振興協議会を発足させることとなった。新生振興協議会会長は、古屋徳男氏(音更町教育委員会教育長)であった。
この会は、前記3組織の事業を整理統合し、北海道精神薄弱教育研究連盟と連携を深め、研修部、交流部、広報部、進路対策部(平成10年に解消)を置き、十勝の特殊教育の充実振興を図るための諸活動を推し進めてきた。
なお、1976(昭和51)年に、北海道特殊学級設置校長協会が設置されており、十勝にも同様の組織をつくる提案がなされたが、十勝管内特殊教育振興協議会の中に位置づけて活動する方が望ましいとのことで、設置校長部として振興協議会に加えられた。
また、当会は十勝管内各町村の負担金により運営されている。道内ではこのような形での組織運営は珍しく、十勝は恵まれていると言える。

○ さて、振興協議会の規約では、当会は、十勝の特別支援教育の充実振興を図ることを目的とし、その達成のために次の事業を行うこととしている。すなわち、第1に研究・研修に関すること、第2に児童生徒の交流活動に関すること、第3に啓発活動に関することである。

【研修事業】
昨今、色々な組織・団体があり、様々な有意義な研修会が開かれているところである。当協議会も、現場の仲間が集い、互いに見識を深め、実践の力量を高めるべく、研修に一番重きを置いている。
残念ながら学校現場は多忙を極め、振興協議会の平日開催研修事業については、必ずしも満足できる参加状況にあるとは言えないが、方面研修会の充実により、研修事業に対して、参加者はおおむね肯定的に捉えてくれていると押さえている。
各学校で参加できる状況づくりにさらに努力して欲しいと願っている。

【交流事業】
管内合同レクリエーション交流会は、多数の児童生徒・保護者・教職員が一同に会して交流する場となっている。例年500名以上の参加がある。道内でこれだけの規模のものはないであろう。個人差はあるが、どちらかと言えば行動範囲が狭い子どもたちの生活に変化をもたらすことは重要である。大勢の中でも気後れなく活動できる場を大切にしたい。
反面、人数が多いため、運営面や内容面を検討していかなければならないことは言うまでもない。
また、子どもたちの作品交流を図る手立てとして、文集「根っこ」を毎年発刊している。

○ 完全実施と言われたこの4月からの特別支援教育について、様々な考えや受け止めがある。
学校、地域ばかりでなく社会の多くの人々が理解し納得した中での特別支援教育は、まだまだ時間がかかるであろう。障がいの有無にかかわらず、困っている子がいれば支援を考えていくという、基本的な営みを中心に据え、中長期的な視点をもちながら支援体制を徐々に構築していくということを大切にしたい。

○ 当協議会が今後どのように進んでいくのかは、役員のみならず、会員の皆さんの意志にかかっている。希望してこの組織に入るというシステムにはなっていないが、自分たちの協議会ということを強く意識し、積極的にかかわっていただくことを望んでいる。
学校現場の先生方が中心となって推進しているこの協議会を大切にしてほしいと思っている。